2008年5月30日金曜日

factory

いま工場ウオッチングがブームを呼んでいる。
写真集も出ているが、特に人気なのが、工場factoryが立ち並ぶ京浜工業地帯を縦断する鶴見線だ。
笙野頼子さんの芥川賞受賞作「タイムスリップ・コンビナート」の舞台にもなっている。
起点の鶴見には故石原裕次郎さんが眠る総持寺。次の国道に着くと、
踏切もないのにホームに「カンカンカン…」と踏切警報音が流れ、驚かされる。
ホームには「カモメ公害に注意」の看板。とくに冬場はカモメが多く飛来し、
利用客を直撃する糞(ふん)害が急増するとか。踏切警報音はこのためかも…。

高架下には昭和5(1930)年の駅開業当時のレトロな雰囲気がそのまま残っており、
映画やテレビドラマのロケに数多く使われている。午後4時半になると、焼き鳥屋「国道下」
の赤ちょうちんが灯(とも)り、郷愁にかられる。店内には木村拓哉さん
(TBSドラマ「華麗なる一族」)の記念写真も。「店を始めて31年だけど、
ここの風景(自身の容姿も含めて?)と店の味、それと人情は変わらないわね」
と女将(おかみ)の今橋みつ江さん。

弁天橋を過ぎると、沿線は見渡す限り工場群が広がる。
浅野-安善間は、JRで最も営業キロの短い駅間(0・5キロ)の一つで、わずか40秒で着く。
浅野から東芝の敷地内にある海芝浦へ。
鶴見つばさ橋が眼前に迫り、遠くに横浜ベイブリッジも。
改札からは海芝公園につながり、デートスポットには最適。
潮風に抱かれていると、無性に人恋しくなり、切ない気分になってくる。

終点の扇町で、写真が趣味の龍喜さん(78)と出会う。
「昭和30年ごろは、貨物列車も格段に多かった。
あのころは電車も鮨(すし)詰め状態で、座席を外して乗客を収容したという逸話もある」。
戦後の日本復興を支え、今と昔が共存する鶴見線。
旅すれば“何か”が発見できるかも。


<ガイド> 本線は横浜市鶴見区の鶴見駅から、川崎市川崎区の扇町駅までを結ぶ10駅7キロ。
浅野駅~海芝浦駅、武蔵白石駅~大川駅が支線で、3路線からなる。
また、日本初の「工場夜景ジャングルクルーズ」が、6月7日から就航。
海芝浦駅を海から眺められるほか、京浜工業地帯の夜景が楽しめる。

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